
肝がん治療歴、16年
ラジオ波 治療件数 900件
1992年 東邦大学 医学部卒
1994年 東京大学 消化器内科 入局
2004年 帝京大学溝口病院 第4内科 助手
2006年 帝京大学ちば総合医療センター 第3内科 講師
2008年 より現職
原発性肝がんは、30年前の4倍に増え、日本人では肺がん、胃がん、大腸がんについで第4番目に多い癌です。その80%はウイルス性慢性肝炎、肝硬変を合併しており、手術ができるのは3割ほどしかなく、手術ができても5年以内に80%でがんが再発します。そのため手術以外の効果的な治療法として、ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法が注目されています。近年、転移性肝がんの治療にも応用され、良好な成績が報告されるようになってきました。
ラジオ波焼灼療法は一般的に軽い鎮静下で局所麻酔を用いて実施されます。患者さんは意識のある状態で治療を受けるわけです。これには理由があります。ひとつは電極針を挿入する際に患者さんに呼吸を止めていただき、その間に針を肝がんに挿入するわけです。また、意識があることにより治療中のなんらかの変化を患者さんは医師にアピールすることが可能です。このためほとんどの施設では意識のある状況下で行うわけですが、そのために苦痛と不安、恐怖を伴います。
当院のラジオ波焼灼療法として「眠っている間に治療が終わる」いわゆる"無痛ラジオ波焼灼療法”があげられます。これは静脈麻酔を用いることにより、患者さんは完全に眠ったまま、痛みをまったく感じることなく行われます。全国800施設でラジオ波焼灼療法がおこなわれているとのことですが、当院ほど完全にこの「無痛ラジオ波焼灼療法」が実践されている施設はありません。この成績は米国消化器病学会、アジア太平洋肝臓病学会、日本肝癌研究会などで報告しております。“無痛ラジオ波焼灼療法”により、患者さんに不利益を被ったことは1度もありません。患者さんの声欄に掲載いたしましたが、大変喜ばれております。学会で発表しますと完全に意識がない状態では患者の痛みのサインをみのがすのではないかとよく言われますが、200症例以上の経験から、まったくその心配はありません。息を止めなくても針を腫瘍に挿入できる技術もあります。麻酔をかけることによる偶発症も1例もありません。
“無痛ラジオ波焼灼療法” 実施中の写真を提示いたします。
治療中の佐藤医師(手前)と患者の呼吸管理中の山田医師(奥)
患者さんの周囲には術者、助手、麻酔医、看護師、機械を操作する技師を配置し、血圧、心電図、酸素モニターを装着し、安全には万全を期して治療に望んでおります。けして安易に治療していないことがわかります。
まず最初に当院でラジオ波焼灼療法を受けられた患者さんの声を紹介します。
5月、6月に治療を受けられた患者さんを連続10人掲載いたします。
1, 東京都、75歳 女性
帝京大溝口病院、帝京大ちば医療センターと再発の度に佐藤先生にお世話になって、佐藤先生の転勤の度に、私も病院を換えてまいりました。今回も安心して治療受けられました。
2, 神奈川県、67歳 男性
治療が難しい場所にがんが出来て紹介されてきましたが、安全に完全に治療していただき助かりました。
3, 東京都、65歳 男性
まったく痛くありませんでした。寝ている間に治療が終わりよかったです。
4, 東京都、61歳 男性
最初は不安でしたが、スタッフの皆さんも親切で安心しました。感謝。
5, 東京都、71歳 女性
私は肺がんもあるのですが、この治療で肺がんも治療していただけたらありがたいです。
6, 東京都、70歳 女性
治療中のこと少し記憶していますが、痛みはありませんでした。
7, 神奈川県、67歳 男性
一度で治療が終わりありがたかったです。痛みはまったくありませんでした。
8, 山梨県、72歳 男性
いい気持ちで寝てしまいました。
9, 東京都、80歳 男性
他施設で治療したときは右肩がとても痛く、また血圧も200以上に上がったようですが、今回はまったく痛みをかんじませんでした。血圧も落ち着いていたと聞いて安心しました。
10, 東京都、66歳 男性
東大、帝京大溝口、今回の杏雲堂と3回佐藤先生に治療していただきました。郷里の宮崎に転居しますが、宮崎で同じような治療ができるか心配です。再発したらまたお世話になります。
ラジオ波焼灼療法は、超音波で観察しながら、がん組織に直径1.5ミリほどの電極を挿入し、周波数の比較的低いラジオ波を流して腫瘍を60度以上の熱で誘電加熱し、がん細胞を壊死(えし)させる治療法です。
使用する針は非常に細く、傷跡は残りません。
肝がんは原発性肝がん(肝細胞がん)と転移性肝がんの2種類があります。日本の学会では2cm以下の肝細胞がんであれば切除もラジオ波焼灼療法も長期成績に変わりなくどちらを選択しても良しとされています。肝細胞がんに対するラジオ波焼灼療法の適応は腫瘍の長径3センチ、3個以内が一般的ですが、肝機能が良ければ、この条件を超えていても治療できることもあります。当院では単発では長径5センチまでを適応としております。
転移性肝がんは肝硬変を合併していないため、大きく、たくさんの腫瘍を焼灼することが可能です。しかし、まだこの治療法の歴史が浅いために、手術か抗がん剤治療か、ラジオ波焼灼療法がいいかの結論がでておりません。しかし、たとえば2cm以下の肝がんであればわずか6分間の焼灼で、安全に、しかも無痛でがんを除去できるわけですから、非常に有効な治療であると考えております。転移性肝がんの場合は、肝臓の機能が良好である場合が多く、肝細胞がんより適応範囲は広くなります。当院では最大5cm、5個以内、単発であれば最大8cmまでとしています。私たちの経験では最大10cm、腫瘍個数では15個までの転移性肝がんを治療した経験があります。
私、佐藤新平が杏雲堂病院においてラジオ波焼灼療法を担当しております。
現在私は当院以外にも、帝京大学ちば総合医療センター、帝京大学溝口病院に毎週出張してラジオ波焼灼療法を実施、指導しております。平成8年より肝がん治療のメッカである東京大学消化器内科で小俣政男前教授、椎名秀一朗講師のもと、肝がん治療を学び、エタノール注入療法、マイクロ波熱凝固療法、ラジオ波焼灼療法を中心に15年間の治療経験を有しております。ラジオ波焼灼療法ものべ800人以上の患者さんに治療してまいりました。平成20年11月帝京大学ちば総合医療センターより異動し、現在に至っております。
ラジオ波は外科的切除と比較してはるかに侵襲が少なく、安全な治療法といえます。しかしながら、生身の人間に針を刺し、肝臓に熱を加えるという治療がまったく安全なはずはありません。まったく問題なく治療が完遂しても、出血や感染をきたす可能性があり、これを偶発症といいます。一般的に何らかの処置が必要であった偶発症の頻度は約3%と言われ、3,000人に一人の死亡例が報告されております。
私どものラジオ波の偶発症の低さには定評があり、この三病院において、過去5年間に350人の肝がん患者さんを治療してまいりましたが、治療を要した合併症は3人(出血2人、輸血にて対処)の0.9
%でした。RFAの偶発症は一般には3 - 5%と言われており、非常に偶発症が低いことがわかります。これは過去15年間に及ぶ肝がんの治療の経験から、肝臓のあらゆる部位にできた肝がんにもアプローチ可能なテクニックがあり、またその危険も熟知していること、また時には無理をしないことなどよると思われます。
当院で治療を受けられた患者さまは私が責任をもって外来で経過観察させていただきます。実際に治療した医師が経過観察することは、再発の多い肝がん患者さんを見るうえで非常に大切なことです。つまりどの部分を治療し、あるいは経過をみている腫瘍か、CTでどのように映っているか、肝機能はどうであったかなどの情報は術者がもっとも記憶しているからです。月に1回外来受診していただき、4ヶ月に1回の私自身による腹部超音波、6ヶ月に1回のCT検査を実施し、早期発見に努めています。再発した場合は、大学病院では入院待ち一か月という施設もありますが、当院では入院待ちはまったくなく速やかに入院し、治療が受けることが可能です。
私どもは肝がんの治療を15年以上にわたって実施してまいりましたが、その成績は随時学会、研究会、国際学会、論文などに発表してまいりました。東大時代から日本の学術集会で発表はのべ300回、国際学会に自身の発表は25回を数えます。40編の英語論文発表の実績があります。そのほとんどは肝がんに関するものであり、肝がんに関する日本、世界の状況やトレンド、成績など熟知しております。それらをふまえた上で最良な方法で治療を提供することが可能です。患者さんのデータから新たな知見を見つけ、医学の発展に貢献するという視点をもってやってまいりました。今後もそのスタンスは変わりなく、治療を受けられた患者さんは、その後は責任もって診療させていただきます。私が今でも、帝京大溝口病院、帝京大ちば総合医療センターに出張しているのは、「自分が治療した肝がん患者さんは自分が責任をもって診る」ためであります。
当科には進行肝がん治療の第一人者、小尾俊太郎部長がおります。私とは同い年で、彼のもとには全国、外国から患者さんが治療を求めて集まります。また、当院は肝がん治療数で全国第2位の実績があり(表)、承認前の治験薬をいち早く提供することが可能です。承認前といっても海外ではすでに使用され実績を有している薬です。これは製薬会社負担となるため最新の治療が無料で受けることが可能です。このように、当院では早期の肝がんから進行肝がんまで世界でまずまちがいなくトップの肝がん治療をうけられる環境にあります。
乳がん肝転移の患者さんの写真です。左が治療前、右が治療後です。完全に腫瘍が消失しているのがわかります。乳がんも肝転移ができてくると抗がん剤のみで治療する施設が多いのですが、この患者さんは術後年半経過していますが、治療部の再発もなく元気にくらしております。
肝がん副腎転移の症例です。副腎転移はと大型でしたが、1回のラジオで転移がんは完全に破壊されました。
| 【当科での成績】 | 【偶発症】 | ||||||||||
| 2008年11月〜2010年12月までの2年間 | |||||||||||
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125例中、全例に治療成功した。 偶発症は出血2例(1.6%)。 |
| 【転移性肝癌症例】 | 【当科でのRFAの特徴】 | ||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2008年11月〜2010年12月までの2年間 | |||||||||||||||||||||
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| 【担当医の経験と成績】 | |||||||||||||||||||||
| 佐藤新平:約900例のRFAの経験、治療を必要とする偶発症発生率8/900=0.9% | |||||||||||||||||||||

2010年12/16 インド、デリー大学 チャウラ教授ら3人が無痛ラジオ波を見学。
技術指導しながら治療している術者は佐藤新平。

2010年6月雑誌フライデーに ”無痛ラジオ波焼灼療法” が4ページにわたって紹介されました。
左 術者 佐藤新平、右 麻酔医 山田章盛

2010年12月雑誌Value Creatorに ” 無痛ラジオ波焼灼療法 ” が8ページにわたって紹介されました。
2011年の学会予定は以下の通りです。
2月、東京肝癌局所療法研究会 発表
アジア太平洋肝臓病学会(バンコク) 発表
5月、消化器病学会 発表
6月、肝臓学会 発表
肝癌研究会 発表
10月、消化器病学会 発表